一期一会のGame Blog

遊んだゲームの紹介とプレイした感想だったり攻略内容を記録するブログです。

【レビュー】Detroit: Become Human

 

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『Detroit: Become Human』のレビューです。ネタばれ無しでタイトルの紹介と感想を書いていきます。 本タイトルはQuantic Dream社の開発タイトルで代表作としては『HEAVY RAIN -心の軋むとき-』がありますね。アドベンチャーゲームの開発に定評があり、リアルなグラフィックとドラマチックなシナリオが特徴的です。アドベンチャーゲームはやってて疲れないし、好きな時に中断出来るしで気楽に遊べるので好きなジャンルのひとつです。

 

プレー状況:本編クリア済

プレイ時間:25時間ほど

ハマれる人

  • ヒューマンドラマが好きな人
  • リアルなグラフィックで表現された20年後の未来の世界に飛び込みたい人
  • アドベンチャーゲームが好きで分岐するシナリオやフラグ管理が好きな人

良かった点

  • リアルなグラフィックで20年後のデトロイトの都市を表現した世界観
  • 多数のストーリ分岐やフラグの数々、プレイヤ毎に異なるストーリを体験
  • キャラの演技(会話や動作)も質が高く、リアルなグラフィックと相まって没入感が非常に高い

ストーリー

 アンドロイドが労働力として人々の生活に定着した未来のデトロイトが舞台のお話です。3体のアンドロイドの視点で物語は進みます。1人はアンドロイド関連の犯罪を捜査するコナー捜査官、もう1人は家事手伝いのカーラ、最後は老齢の画家を世話し共に暮らすマーカス。それぞれ独自の生活を営み、異なった立場から未来の世界での生活を知ることが出来ます。またアンドロイドを労働力として人々の生活は便利になる反面、職を失う人が増加していることが社会問題になっていたり、軍隊にもアンドロイドが採用され論理的に問題になっていたりアンドロイドが普及することで様々な社会問題が生じ始めた黎明期として描写されています。また新たな問題として、アンドロイドが犯罪に関与するケースが増加していることを受けコナーはハンク警部補と共に捜査にあたることになります。自我を持たないアンドロイドが犯罪を犯すとは謎が深まるばかりです。カーラとマーカスは関係する人間とのトラブルから自分の運命を大きく変える出来事が生じ、これまでの生活とは異なった環境に身を置くことになってしまいます。

 

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2038年のデトロイトの街中の様子、至る所でアンドロイドが労働している。 

 映画でもドラマでもないADVゲームとしての新領域

 本作の特徴のひとつは、分岐やフラグ等が膨大にあることがあげられます。最初のシナリオからフラグが多数あり分岐することになります、クリア時の結果も数種類ありその結果を受けて後のシナリオが変化する部分が出てきます。映像特典の中にスタッフのインタビューがありますが、フラグや分岐の総数は1000にものぼるそうで、プレイヤーの数だけストーリが生まれることになります。各シナリオクリア後にフローチャートを確認出来るので、どこで分岐したか等の確認が出来ます。分岐の結果が見えることで管理がしやすくなり、またフローチャートを埋めたくなりますね。

 

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最初のシナリオの分岐チャートです、1番右側がクリア時の結末で6通りあるようです。

 

シナリオ以外にも、世界観もとても練られていて2038年のデトロイトがどうなっているか、未来の世界を現実的に捉えて表現することで、ゲームにリアリティをもたらしていると感じられます。アートワークなどの映像特典もあり、いかにして世界観を構築していったかをうかがい知ることが出来ます。また、キャラクターも非常にリアルに作りこみがされていて、遠目には実写なのかCGなのか区別がつかない程です。各シーンのキャラクターのモーションはキャラクターを演じる役者さんが実際にモーションキャプチャーをしていて各キャラの動きも人の動きそのものになっています。非常に手間をかけて開発されたタイトルですね。

 

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 実際の俳優さんと瓜二つのマーカス、特典映像で俳優さん達のモーションキャプチャーの様子を観ることが出来ます。

 

ここまで見た目も動きもリアルで多様な表現が出来るようになると、もはや映画とドラマとゲームの垣根がなくなってきますね。むしろ役者達を起用してわざわざCG化して映像を作りゲームとして開発していく意義というか、ゲームとしての特徴をどのように出すのかが重要になってきます。ゲームならではの部分として、前述のストーリの分岐をゲーム性とすることで様々なIF(もしも)のシナリオをプレイヤーが決めた選択をもとに楽しむことが出来ます。また、操作パートがあり決められたエリアの中を自由に行動して調べて回ることが出来ます、未来の世界を動き回れるのはゲームならではの部分ですね。ちなみに、操作パートで集めた情報や発見した手掛かりからフラグが解除されたりといったストーリの分岐にもつながっていきます。あとはアクションシーンではQTEが発生します。QTEが楽しいのかは賛否両論がありますが、QTEの結果次第で先のストーリが変わっていくので、ゲームに緊張感を生み出す役割はあるのかなと思います。ちなみにQTE不得意な人への救済処置もあって難易度を選ぶことも出来ます。

 

 

総評

本タイトルは映画やドラマといった映像作品にも引けを取らない、かつADVゲームとしての王道の要素を盛り込み開発されたタイトルとしてひとつのADVゲームの完成形として位置づけられるのではないでしょうか。ADV好きな人はもちろんのこと、そうでない人にも広くお勧めできるタイトルだと思います。気になっているけど遊ぶまでには至っていない人には、ぜひ遊んでほしいタイトルです。

不満というかもったいないと感じた点を書いておくと、分岐シナリオを回収していくためには分岐する特定のシナリオだけではなくて後続のシナリオを続けてプレイしていく必要があるシステムになっている点です。ストーリ分岐が多数あるシナリオとなっているため、分岐させたいシナリオのフラグがずっと前のシナリオにあるとそこにたどり着くまで結構大変で時間がかかります。キャラの会話はスキップ出来ないのも時間がかかる要因につながっています、そのため見ないままで終わるシナリオがあったりでそこはもったいない部分だなと感じました。もう少し分岐シナリオを回収しやすいシステムであると余すことなく楽しめたのではと思います。

後もう1点述べるとするとグラフィックやモーション、世界観はかなりレベルが高いのですが、システムは今まであったものの延長戦というか特に目新しものはありません。これだけのものを開発出来るのであれば、システム面でも新たなADVゲームのかたちとしてのブレイクスルーを期待したくなりますが、それは贅沢な注文なのかもしれません。。